Ms.OOJAの、ニュー・アルバム
『PROUD』を引っさげての
全国ツアー
“Ms.OOJA LIVE TOUR 2018「PROUD」”の
東京公演が、4月1日に行なわれた。
会場となった東京国際フォーラム・ホールCは、チケット完売で超満員。開演前から熱気で溢れている。
ステージ後方のスクリーンに、春、夏、秋の風景の映像が次々と映され、それが冬になったところでMs.OOJAが登場、アルバムの冒頭に収録されていた、冬の愛を歌った「White Letter」からコンサートは始まった。
アルバムもそうだったが、こういったバラードからコンサートが始まるのというも、歌をじっくりと聴かせることのできるMs.OOJAならではの構成だろう。さらに「エール」「Brand new day」と『PROUD』からの楽曲が続き、楽曲のテンポも、そして会場のボルテージも徐々に上がっていって、次第に客席も立ち上がっていく。後方のスクリーンも、楽曲に合わせて様々な風景や写真、歌詞などが映し出され、雰囲気をさらに盛り上げている。
そして彼女自身が“ライブでみんなと一緒に歌いたい曲”と語っていた「sakura」では、ファンも振り付きで一緒に歌って踊り、さらに「BRAVE」ではみんなでタオルを回して大いに盛り上がって、会場の一体感がさらに高まっていく。ここまでニュー・アルバムの楽曲が5曲続けて歌われたが、まったく違和感がないというか、素晴らしい流れだ。『PROUD』はライブを意識して制作されたということだが、とてもライブ映えする曲ばかりで、Ms.OOJAの歌声もとても力強く、歌詞のメッセージや世界観も、ストレートに観客に伝わっていく。“みんな「sakura」の振り付け、完璧! タオル回しも素晴らしい!”と、彼女もノリノリだ。
そして、“ここから、ちょっと大人な楽曲を歌います”と語って、スパニッシュ・テイストの「コントラスト」、さらに『PROUD』の初回限定盤に付いていたファン投票によるベスト・アルバム「ANOTHER BEST『PROUD SONGS』」にも収録されていたミディアムのR&Bチューン「ORANGE」と、大人のラブ・ソングをじっくりと歌い上げていく。こういった楽曲で聴かせる歌の表現力、そしてストレートにハートに飛び込んでくる歌声は、まさにMs.OOJAならではだ。彼女のシンガーとしての素晴らしさが実感できるパフォーマンスだった。
そしてここで、スペシャル・ゲストのJAY'EDが登場。アルバムに収録されていた、2人のデュエットによる大人のラブ・ソング「朝陽のようなKissをして」が披露された。2人の息も、声質も、相性ピッタリというか、絶妙にフィットしており、まさに彼らでしか作り出すことのできない濃密な世界観を見事に作り出していた。さらに、この2人による初めてのデュエット・ソングである「また君と」(2014年)も披露された。ツアーでは大阪公演と、東京公演だけのスペシャル楽曲と言う事でファンにとっても嬉しいサプライズだったといえるだろう。
さらにピアノとコーラスのみをバックに、「ANOTHER BEST『PROUD SONGS』」から「Letter」、
そして彼女の代表曲である「Be . . .」はバンドのアコースティックで披露され、どちらの曲も声が際立つアレンジで観客をもっともっとMs.OOJAの歌の世界に引き込んでいく。
ここで一旦彼女がステージを降り、DJプレイに続いて、コーラスの2人が客席を盛り上げたところで、白と黒を基調にしたカッコいい衣装に着替えたMs.OOJAが登場。「さよならを待ってる」(Dream Come Trueのカバー)「Baby don't know why」「STAND UP!!」「I'm ALIVE」と、アップ・テンポのナンバーが続けて歌われて、会場のボルテージも最高潮に達していく。
特にロック・テイストのビートで、客席のみんなも大合唱となった「STAND UP!!」と「I'm ALIVE」は、これまでにはなかったタイプの楽曲で、これからの彼女のライブの、新たな定番曲になりそうだ。グイグイと疾走するビートが気持ちいい。
さらに、2016年10月にロサンゼルスで行なった初の海外制作の映像が映され、その時に作られたR&Bチューン「I won't forget about you」が歌われたあと、「WITH」「Be myself」「PROUD」「Dear」と、ドラマティックで、聴き手の背中を押してくれるような強いメッセージが込められた、Ms.OOJAの“歌の力”がひしひしと感じられるナンバーが4曲、情感豊かに歌われ、この日のコンサートは大きな感動に包まれて終了した。
特に「PROUD」の“ひとりじゃない”という心の叫びが、ジーンとハートと染みてきた。彼女の歌が、聴き手の心を大きく揺さぶっていく。あらためて、すごいシンガーだと思う。
Ms.OOJAのコンサートは、いつもアンコールがない。それは、“本編”で100パーセントを表現し尽くし、アンコールのための“余力”を残していないからであり、そんなところにも、彼女のこだわりが感じられる。
今回のコンサートでは、『PROUD』の全曲が歌われ、これまでのライブの定番曲はやや少なめではあったが、それでもまったく物足りなさや違和感なく、心から楽しめて、感動できる内容だった。それは『PROUD』というアルバムの完成度の高さと、Ms.OOJAの歌手として、そしてパフォーマーとしての才能の豊かさがあってこそだろう。バラードではじっくりと聴かせ、アップ曲では思いっきり弾けるという、Ms.OOJAのライブの楽しさが全身で楽しめるステージであり、彼女のさらなる成長と進化が感じられたコンサートだった。report by 熊谷 美広